日本との「2プラス2」でロシアが目指すもの

 ロシア側の狙いは?(C)AFP=時事
ロシア側の狙いは?(C)AFP=時事

  4月29日の日露首脳会談は、平和条約交渉活性化、多角的経済協力など大きな成果を挙げたが、最大のサプライズは外務・防衛閣僚会議(2プラス2)の立ち上げだった。日本が「2プラス2」会合を定期化するのは、米国とオーストラリアに次いでロシアが3カ国目。平和条約もないのに、同盟国並みの扱いとなる。

 ロシアにとって、「2プラス2」会合は、米、英、フランス、イタリアに次いで日本が5カ国目で、アジアでは最初の相手国となる。外交はパーセプション(諸外国の受け止め方)のゲームであり、日露の急接近を世界に印象付けることになる。中国の政治的、軍事的台頭をにらんだ措置であることは間違いなく、表面上平静を装う中国も警戒感を強めているはずだ。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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