言論か経営か――大企業傘下に入るフランス紙の苦悩

2005年2月号
エリア: 中国・台湾

 フランスの左派系の有力紙「リベラシオン」が、金融資本ロスチャイルド家から出資を受ける。一九七三年に哲学者ジャン=ポール・サルトルらの支持の下、セルジュ・ジュリ氏が「リベラシオン(解放)」の名で立ち上げた。以来、左派を掲げ、体制に辛口な紙面を貫き、“リベ”の愛称で、「ルモンド」、「ルフィガロ」と並んで国民の人気を得ていた。資本主義とは対極にあるルーツをもつリベも、業績悪化という現実には勝てなかった。「リベラシオン」の部数は約十五万部とジリ貧傾向。二〇〇四年決算では二百万ユーロ(約二億八千万円)の赤字となる見込みだ。紙面の一新には二千万ユーロ(約二十八億円)の増資が必要。仏ロスチャイルド家の一員で、競馬を主催・運営するフランス・ギャロップ会長のエドゥアール氏(四六)は昨年十二月、株式の三七%に当る二千万ユーロを出資し、最大株主となることを発表した。 驚きの組み合わせだが、ロスチャイルド家は、自由主義的な左派を掲げる仏社会党のストロスカーン元財務相に近いとされる。また、発行人ジュリ氏も二〇一二年まで今の地位に留まる。そのため紙面が百八十度変わるとの見方は少ない。 大企業の傘下に入る仏メディアは、「リベラシオン」だけではない。保守系の有力紙「ルフィガロ」は二〇〇四年に「ラファル」などの戦闘機で知られる仏防衛大手ダッソーの傘下に入った。三十五万部を割ったとされる「ルモンド」紙も防衛・メディアの複合企業体「ラガルデール」が出資を検討している。「ルモンド」紙編集長のプレネル氏は部数の減少などを理由に十一月末に辞任。いずれもインターネットの躍進や読者の活字離れ、さらには新聞スタンドの減少などが背景にある。

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