苦肉の「農業シフト」に踏み切る北朝鮮

執筆者:草壁五郎 2005年2月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 朝鮮半島

賃上げ・物価値上げを経済改革と称する国も、“改革”が進めば現実を直視せざるをえなくなる。今年は農業に力を注ぐというが――。[ソウル発]「肖像画を外し、少し(体制批判の)ビラが出たからと言って、(北朝鮮に)大きな変化が起こったと考えてはならない。(それは)金正日が肖像画を外せと指示したからであり、そんな形式的なことに頼らなくても十分に統治できるという自信を世の中に示そうとしただけだ」 韓国に亡命した黄長ヨプ元朝鮮労働党書記はそう語り、北朝鮮体制異変説を一蹴した。 昨年後半から北朝鮮の体制の動揺を誘導するような未確認情報が頻繁に流れるようになっている。平壌の人民文化宮殿に掲げられた金正日総書記の肖像画が外されたことや、反体制ビラとされるものが異変の証拠であるかのごとく報じられたほか、「呉克烈元参謀長の息子の呉セウクが米国に亡命した」「総書記の最愛の妻、故高英姫の息子の金正哲がオーストリアで金正男暗殺を企図した」「北朝鮮の軍将官百人以上が中国に亡命した」などとも報じられた。 肖像画撤去事件は、体制異変というよりは、黄長ヨプ元書記が指摘したように、金正日の“余裕”の産物である。例えば、平壌の玄関である順安飛行場の肖像画は昔から故金日成主席のものだけだ。北朝鮮が内外の困難に直面しているのは事実だが、未確認情報を「体制異変説」に飛躍させれば、かの国への対応を誤ることにもなりかねない。

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