いやいやクビを差し出す海老沢ドンの「罪と罰」

執筆者:神谷二郎 2005年2月号
カテゴリ: IT・メディア

このままでは予算が通らないかもしれない。加速度的に増え続ける受信料の不払いは、NHKの屋台骨をきしませている。 にらむ、うつむく、頬を紅潮させる、涙目になる――視聴者が認めた「変化」はドンの表情だけだった。 昨年十二月十九日の特別番組『NHKに言いたい』に出演した海老沢勝二NHK会長は「真摯に受け止める」「一から出直す」といった空念仏を繰り返すのみ。放送翌日、NHKの視聴者センターには「もう受信料は払わない」「海老沢辞めろ!」という怒りの電話が殺到した。その数、六百七十四件。日本放送労働組合(日放労)の内部報告は「これまでに経験したことのない電話の洪水」が押し寄せ、「営業現場は電話対応に釘付けとなり、他の業務に取り組めない」状態となったとするが、この数でこの混乱ぶりから考えれば、放送当日に寄せられた三万件に迫る「声」がNHKをパニック状態に陥れたことは容易に想像できる。 視聴者の怒りの「第二波」は大晦日、海老沢が「史上最高の紅白」と胸を張った乾坤一擲のイベント『紅白歌合戦』に「史上最低の視聴率」という形で冷水を浴びせた。その衝撃の大波は制作現場や管理職を危機感で覆いつくした。「昨年末から会長が辞任する要素は三つあるとみられていた。そのうち二つが見事に“的中”して、外堀は完全に埋まりましたね」。そう話すNHK幹部の表情に、動揺を感じ取ることはできなかった。彼の顔にあったのは疲労の色だけである。

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