「対話」へ動き出した北朝鮮(下)「非核化」には応じず

平井久志
執筆者:平井久志 2013年6月7日
カテゴリ: 国際

 崔龍海特使は5月22日に北京に到着し、早速、中国の対北朝鮮窓口の役割を果たしている中国共産党中央対外連絡部の王家瑞部長と会談した。王家瑞部長は故金正日(キム・ジョンイル)総書記が訪中した際にはずっと同行するなどした人物だ。朝鮮中央通信は崔氏と王氏の会談について「朝中関係をより一層改善、強化することをめぐり意見交換した」と伝えた。特使訪問の目的を「朝中関係の改善」としたことは現在の関係が冷却化していることを認めたといえる。

 崔龍海特使は同23日には中国共産党序列5位の劉雲山・党中央書記局書記(党政治局常務委員)と会談した。中国側の報道では、崔特使は「中国側の提案を受け入れ、関係各国との対話を展開したい」と対話に前向きな姿勢を示した。対話姿勢への転換が「中国側の提案」であることを強調する姿勢を示すことで中国にポイントを与える姿勢を明確にした。また経済発展と国民生活改善に集中するため「平和な外部環境をつくりたい」と表明した。

 しかし、北朝鮮側の発表では「両党、両国の老世代指導者たちの心血と労苦が宿っている朝中友好を代を継いで強固にし、発展させようとするのは朝鮮労働党の変わらない立場であると強調した」と報じ、中国側が強調した「関係各国との対話を展開したい」との発言には言及しなかった。劉氏が6カ国協議を早期に再開するべきだと主張したと伝えていたが、朝鮮中央通信はこの発言にも言及していない。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順