米共和党の逸材「ランド・ポール」は父親を越えるか

執筆者:足立正彦 2013年6月8日
タグ: CIA アメリカ
エリア: 北米

 ティーパーティー(茶会党)旋風が吹き荒れ、保守派共和党議員が大挙政界入りする契機となった2010年11月の中間選挙から、早いものですでに2年半以上が経過した。2011年1月からケンタッキー州選出の共和党連邦上院議員として在任しているランド・ポール氏(50)もこの選挙での共和党の歴史的勝利で初当選を果たした議員の1人である。だが、同選挙で当選した保守派政治家の中で、ポール上院議員ほど現在注目を集めている政治家はいないのではないのだろうか。

 ポール氏の父親は大統領職を3度も目指したロン・ポール前下院議員(共和党、テキサス州第14区)である。ロン・ポール氏は2012年共和党大統領候補指名獲得争いにも出馬した。自らの政治生活を通じて、行政の肥大化や米軍の海外への過度なコミットメントについて批判し続けたリバタリアン政治家である。国家、政府の経済や社会に対する介入は最小限に留めるべきであるとするリバタリアン的政治哲学に共鳴する特定の支持層からは熱狂的な支持を受けていた。だが、ロン・ポール氏は決して共和党主流派の政治家になるとは見られなかった、エキセントリックさを帯びた政治家でもあった。自らを熱狂的に支持する支持者が自らに従えばよいとの考えがあったためか、他の有権者層に自らの政策を積極的に訴えて、支持基盤の拡大を図ろうとする選挙キャンペーン・スタイルをあまり導入しなかったことでも知られている。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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