早くも盛り上がる「クリントン擁立」の動きと死角

執筆者:足立正彦 2013年6月29日
エリア: 北米

 ヒラリー・クリントン氏が世界各地を飛び回る激務である国務長官ポストを離れてから未だ5カ月しか経過していない。そして、2016年民主党大統領候補指名獲得争いの幕開けとなるアイオワ州党員集会まで30カ月もある。ところが、今月に入ってからクリントン氏を2016年の民主党大統領候補として擁立しようとする動きが各方面から次々に明らかになりつつある。本稿では、前回出馬した2008年民主党大統領候補指名獲得争い当時との比較も行ないながら、「クリントン擁立」の動きと死角について分析してみたい。

 クリントン氏が上院議員在職中、ともに女性民主党上院議員として議員生活を送っていたクレア・マカスキル上院議員(ミズーリー州選出)は今月10日、現職の上院議員としては初めてクリントン氏の2016年民主党大統領候補指名獲得争いへの出馬を支持した。マカスキル議員は2008年民主党大統領候補指名獲得争いで、当時上院議員であったバラク・オバマ氏に対する支持を2008年1月という予備選挙・党員集会プロセスが開始したばかりの早い段階で表明し、民主党関係者を驚かせた。また、マカスキル議員は自分の娘をホワイトハウスの女性インターンと不適切な関係を持ったビル・クリントン元大統領には近づけたくないとも発言し、クリントン夫妻とは微妙な関係となっていた政治家である。だが、そのマカスキル議員は今回、2016年の民主党大統領候補指名獲得争いに出馬するのか否かの態度すら明らかにしていないクリントン氏に対する支持の立場を鮮明にしたのである。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top