EU内で続く「南北対立」――先行き不透明な銀行同盟

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2013年7月5日
エリア: ヨーロッパ

 6月27日と28日の両日開催されたEU(欧州連合)首脳会議は、欧州委員会提案の最初の段階について合意し、セルビアのEU加盟交渉開始、緊縮中期予算の採択を承認した。首脳会議終了翌日の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙は「EU、スピーディーな銀行処理を模索」と見出しを打ったが、実際には銀行同盟の道筋が確実になったわけではない。今後の展開は、実質的な欧州統合の盟主となったドイツ次第である。

 

欧州中央銀行の権限強化へ

 今回の合意は銀行同盟実現に向けた重要な第1歩ではあるが、いずれのメディアも懸念材料が多いことを指摘する論調だ。

 金融統合をいっそう前進させる形として、銀行同盟は2010年ギリシア財政危機処理のプロセスの中で緊急課題として浮上してきた。通貨・財政の安定には銀行の一元的管理が不可欠という認識が共有されるようになってきたからである。

 昨年12月にはファン・ロンパイ欧州理事会議長(EU大統領)、バローゾ欧州委員長、ユンカー・ユーログループ議長、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の共同作成による「真の経済通貨同盟に向けて」と題する報告書が公表された。3段階に分けた銀行同盟・金融統合の道筋を示したものである。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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