ある大物テロリストの告白

執筆者:黒瀬悦成 2005年4月号
カテゴリ: 国際

「バリ島テロや9.11は間違っていた」――ジェマア・イスラミアの元最高幹部が東南アジアを脅かすテロ組織のすべてを明かす。[ジャカルタ発]街でその男を見かけても、恐らく注目する者は少ないに違いない。中肉中背、若干後退した額に眼鏡をかけた姿は、東南アジアならどこにでもいるマレー系のインテリ風男性だ。しかし男の腕と手首は太く、掌は厚くて大きい。軍人や警官に多い、長年銃器を扱ってきた人物特有の手だ。ただし男が撃とうとしていたのは、「イスラム教徒の抑圧者」だった。そのために男は、東南アジア諸国の治安当局から追われる身となった。 男の名は、モハメド・ナシル・アッバス。一九六九年五月六日にシンガポールで生まれ、八歳からマレーシアで育ったアッバスは、かつて東南アジア一帯に汎イスラム国家の建設を目指すイスラム系テロ組織「ジェマア・イスラミア(JI)」の最高幹部の一人だった。 JIは、二〇〇二年十月に二百二人が死亡したバリ島爆弾テロや翌年のジャカルタの米系高級ホテル「J. W. マリオット」爆破テロなど東南アジアで数々のテロ行為を敢行。ウサマ・ビンラーディン率いる国際テロ組織アル・カエダとの関連も指摘されている。

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