「中国経済の減速」と「アフリカ・バブルの崩壊」

平野克己

 アフリカの経済成長はいつまで続くのか。そろそろこのテーマについて考えておかなければならない。アフリカ経済に関する期待が、とくにユーロ危機後、過剰に膨らんでいるように思われるからだ。近年アフリカビジネスの“はやり”はエクイティファンドだが、彼らはアフリカ経済への期待を煽って資金集めに精を出していると、私にはどうしても思えてしまう。分厚い人口ボーナスの存在を根拠にアフリカの経済成長を内発的で長期的なものだとする議論がなされているが、これに妥当性がないということは以前に指摘した(「アフリカ『人口ボーナス論』を見直すべし」(2013年5月18日))。

 資源開発投資が外から入ってきて原油をはじめとする諸資源の輸出力を高め、そこからあがる所得の多くをアフリカ人が消費にまわす、そうやって拡大していく市場がさまざまなビジネスを育てる――煎じ詰めるとアフリカの経済成長は、こういう構図で維持されてきた。アフリカはあらゆる投入財が割高でリスクも大きいが、それでも投資が入ってくるのは、中国の資源需要が底堅く、資源価格が堅調に推移してきたからである。

 

カギは中国経済の行方

 中国経済の巨大化で、21世紀の世界は20世紀に比べて石油は3割増し、鉄鉱石ではほぼ倍の量を必要とするようになった。この増分を賄うため新たな資源供給地が開発されてきたわけで、アフリカはその重要な一環として位置づけられている。資源価格の上昇は、新規資源開発を後押しするためのシグナルとして、さらにはボーナスとして機能してきたといえる。つまり、アフリカ経済の成長は内発的なものではなく、資源開発というグローバルなダイナミズムに依存しているのである。したがって、このダイナミズムが失速すればアフリカの経済成長も終わるはずだ。

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執筆者プロフィール
平野克己
平野克己 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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