渇水か洪水か――増大する東京の「水リスク」

執筆者:塩谷喜雄 2013年7月9日
エリア: 日本
 都心ではこんな大雨が続いても「渇水リスク」は減らない (C)時事
都心ではこんな大雨が続いても「渇水リスク」は減らない (C)時事

 東京の水供給の7割を賄う利根川水系のダムの貯水率は、7月に入ってようやく7割を超えた。7並びのラッキーセブン効果のおかげで、蛇口をひねっても時には水が出ないという給水制限はとりあえず回避できた。しかし、首都東京が抱える深刻な渇水リスクは、何1つ解決していない。

 昨年の同時期、利根川水系ダムの貯水率は99%、一昨年は95%であった。このレベルを前提として、東京は、利根川から生活用水、農業用水、工業用水などを取水している。貯水率が70%では、当然、ある程度の取水制限は必要になってくる。このままだと間違いなく「節水の夏」となる。

 

実は高い日本の「渇水リスク」

 梅雨明け直前には、南海の暖かく湿った空気が、まるで巨大な舌のように、日本列島の上にヌルリと滑り込んでくる。7月の3日、4日には、この「湿舌」が各地に猛烈な豪雨をもたらし、東京都心でもマンホールのふたの穴から水が噴き出すほどの出水、洪水が起きている。

 その一方で、東京が水供給を依存する河川上流のダムには、さっぱり水が溜まらない。渇水と洪水が、こんな狭い列島の中で、同時期に隣り合わせで発生している。これは気候変動(地球温暖化)がもたらす最大のリスク、激しい気象、極端な気象の同時多発の典型例なのかもしれない。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、97年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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