80時間世界一周 (8)

往来はげしい中越国境に脱北者の影を追う

執筆者:竹田いさみ 2005年4月号
タグ: 中国 北朝鮮 韓国
エリア: アジア

 ベトナムの首都ハノイから車に揺られて北東へ百五十キロ。中国との国境の町ランソンに到着する。トラックの往来が多い週日で四時間もかかった。幾重にも連なった山々が作る自然の国境が歴史を感じさせる。 早朝から荷物を満載したトラックが、中国からベトナムへ押し寄せてくる。ランソン市内にある三階建てのドンキン市場に一歩足を踏み入れると、入り口付近の特等席は携帯電話の販売コーナーだ。そこを通り抜けるとテレビ、ビデオ、ラジカセ、調理器具、おもちゃ、アパレルなど、中国製品が溢れるほど陳列されている。そういえばハノイで見かけた格安の携帯電話は、ほとんどが中国製であった。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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