「スノーデン問題」めぐり結束固める「中南米左派政権」

 スノーデンCIA(米中央情報局)元職員の亡命問題は、エクアドル、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアという中南米の反米政権が亡命先として浮上したことで、ベネズエラのチャベス前大統領の死後、反米モデルの行き詰まりが囁かれた反米左派政権の存在を改めてクローズアップした。とくに関連して、モラレス大統領を乗せたボリビアの政府専用機が欧州各国に領空通過を拒否された事件は、反米左派政権の結束を強める格好の材料となった。

 

大統領を13時間空港に留め置き

 亡命先が反米のアンデス諸国の政権と噂される中、モスクワで開かれたガス輸出国フォーラム(GECF)首脳会議に出席したボリビアのモラレス大統領が7月2日、本国へ向けて帰国の途について間もなく事件は起きた。大統領を乗せたボリビア政府専用機は、スペイン領カナリア諸島のラスパルマスを経由して帰国する予定であったが、航路に当たる欧州諸国に領空通過を拒否された。そのため、急きょオーストリアのウィーンの空港に着陸を強いられ、そこで13時間、留め置かれることになった。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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