インテリジェンス・ナウ

ホワイトハウスも注目するシリア情報機関「ボス」の動向

執筆者:春名幹男 2005年5月号
エリア: 中東 北米

 米首都ワシントンで三月二十六日、土曜日にもかかわらず、ホワイトハウスや国務省、国防総省などから、対シリア政策を担当する高官らが集まった。 ライス国務長官は、ワシントン・ポスト紙に「あらゆる可能性を探り、可能な限り(シリアとレバノンの)多くの人物と接触したい」と語った。 ハリリ前レバノン首相爆殺テロ以後、レバノンとシリアの情勢は激しく流動化している。場合によっては、シリアのアサド政権が突如動揺することもあり得るとみて、ブッシュ米政権は、シリアの野党勢力にまで触手を伸ばそうとしているのだ。 あまり知られた名称ではないが、ブッシュ政権は昨年十二月以来、中東から北アフリカに至る地域で経済と政治の自由化を促すため「拡大中東・北アフリカ構想」(BMENA)という総額約六百億ドルの民主化構想を推進している。全中東・北アフリカ地域で親米国家を拡大するのが狙いだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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