保守主義の「起点」ラッセル・カークに遡る

会田弘継
執筆者:会田弘継 2005年5月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 北米

 ブッシュ政権を突き動かしている思想は「保守主義」だとだれもが思っているが、本当なのだろうか。 たとえば、ブッシュ大統領の選挙参謀として有名なカール・ローブが、この二月に開かれた政治団体「保守政治活動会議(CPAC)」年次総会の講演で次のように語っているのを、どう考えたら良いのだろうか。「ブッシュ大統領は人々の自由の拡大を力強く主張してきた。もとはといえば、リベラル(進歩派)の得意分野だ……理想主義の衣鉢をわれわれ(保守派)が奪いつつある……かつて保守主義運動は反動的な活動だった。今日の保守主義運動は歴史をつくり出す側になった」 保守主義と進歩主義それぞれの基本要素の認識においてローブは誤ってはいない。理想主義は進歩派のものであり、保守主義者はそれに懐疑の目を向ける。進歩派が理想主義に基づいて歴史を前進させようとするのに対し、保守派は慎重さを求めてブレーキをかける。 とすると、ローブは実はアメリカの保守主義は、思想としては保守であることをやめて、進歩派に宗旨替えしたといっているように思える。 もうひとつ例をあげる。 ネオコン(新保守主義者)の泰斗アービング・クリストルは、「(進歩主義に)幻滅した進歩派知識人」が始めた新保守主義の目的は「アメリカの保守主義を近代的な民主主義統治に相応しく変えることだ」と述べている。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順