どんな相手にでも武器を売り渡す死の商人はたくさんいる。テロ組織でも簡単にミサイルを入手できることを、ジャーナリストが実証した。[ロンドン発]事の始まりは、一本の電話――。のんびりと自宅の果樹園でリンゴの実り具合を眺めていたら、突然、携帯電話が鳴った。戦争特派員をしていれば、新聞社からの呼び出しなど日常茶飯事だ。だが、話の内容にはいささか驚いた。 英『サンデー・タイムズ』紙編集局からの指示はこうだった――テロ組織に武器を流す仲介人になりすまし、実際に武器を入手できるかどうかを試してくれ――。当時は米同時多発テロ事件から二年、世界各地のテロ集団が血眼になって武器――とりわけ地対空ミサイル――を探していると言われていた。実際、十カ月前には、ケニア上空でイスラエルの民間機が地対空ミサイル攻撃を受けるテロ事件が起きていた。
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