台湾財界の雄・許文龍「転向」書簡の背景と波紋

2005年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

実業を“人質”に「緑色台商」に圧力をかけ続ける中国。その影はついに二人の「龍」の上にも――。[台北発]三月二十六日、台湾の「首都」である台北市は朝からヘリコプターが上空を飛び交う物々しい雰囲気に包まれていた。陳水扁総統率いる与党・民進党などが中国の「反国家分裂法」制定に抗議する百万人デモを動員したためだ。地元テレビはヘリを使い、総統府前の大通りを埋めるデモ隊の映像を盛んに流した。 路上の喧騒とは対照的に、この日もうひとつの大きなニュースは「紙の上」で起こった。台湾最大の経済紙、経済日報が奇美実業グループの創業者である許文龍氏の公開書簡を一面トップで掲載したのだ。テレビはこれについても何度も繰り返し報じていた。「引退の言葉」と題した書簡は「私は一人の商売人で、台湾で生まれた」と書き出し、一九九一年に祖先の出身地である台湾対岸の福建省を訪ね「大陸と台湾は一つの中国に属し、(中台)両岸人民は同胞だと思った」と続く。そして台湾への武力行使の法的根拠となった「反国家分裂法で心が落ち着いた」と中国・胡錦濤政権の対台湾政策を称賛していた。中国が目の敵にする奇美 書簡が波紋を呼んだのは、許氏が筋金入りの台湾独立支持派として知られていたためだ。

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