国際人のための日本古代史
国際人のための日本古代史(41)

時代とともに変わった「天皇の役割」

関裕二
執筆者:関裕二 2013年8月9日
カテゴリ: 文化・歴史
エリア: 日本

 天皇の戦争責任にまつわるハリウッド映画「終戦のエンペラー」が上映されている。アメリカでは、「日本に甘すぎる」という評価も出ているようだが、日中戦争、太平洋戦争を昭和天皇が主導していたという誤ったイメージは、できれば早く払拭してもらいたいものだ。

 そこで今回は、天皇について考えてみたい。

 そもそも「天皇とは何者なのか」については、いまだにはっきりとした答が、出されていない。

 なぜ天皇は永続したのか、なぜ天皇に歯向かうと恐ろしい目に遭うと信じられていたのか、わからないことばかりだ。

 かつて中世史に溯って網野善彦や今谷明の論争が展開され話題になったが、意見は平行線を辿り、はっきりとした結論は出なかった。

 天皇の正体を示すことができないのは、古代の天皇の実態を知らないからだと筆者は思うのだが、逆に近代の天皇の謎を探ることで、天皇の別の一面を覗き見ることができると感じている。

 明治維新後の天皇は、長い天皇家の歴史のなかで、異質な存在であった。明治政府は、西欧の帝国主義を真似て、海外に軍勢を派遣することを画策し、天皇を利用したのだ。

 帝国主義の大義名分は、キリスト教の正義であった。世界の未開な地域にキリスト教を広め、野蛮な人々をキリスト教の高みに引き上げる必要があると考えたのだ。

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執筆者プロフィール
関裕二
関裕二 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』(以上、新潮文庫)、『伊勢神宮の暗号』(講談社)、『天皇名の暗号』(芸文社)など著書多数。
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