インテリジェンス・ナウ

国連汚職で起訴された朴東宣は「日本潜伏」か

執筆者:春名幹男 2005年6月号

 イラクの旧フセイン体制下で行なわれた国連の人道支援事業「石油・食料交換計画」は、国連が絡んだ未曾有の国際スキャンダルだ。事件は、利権に群がった新旧の国際的な裏人脈ネットワークを浮かび上がらせた。総勢数百人といわれる。 この計画(一九九六―二〇〇三年)は、食料や医薬品など人道上必要な物資を購入する分だけ、旧フセイン政権は石油を輸出して外貨を得てもよい、というシステムだ。総額は実に約六百五十億ドル(約六兆八千億円)。国連の規定に違反して、安い価格で裏人脈のネットワークを通じて石油を販売し、彼らを儲けさせ、彼らの政治的影響力を利用して、対イラク経済制裁を骨抜きにしよう、とフセイン元大統領は狙ったのである。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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