日本の森林再生に「残された時間」は十年しかない

執筆者:梶山恵司 2005年6月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

真っ暗な森に生えるもやしのような木――日本の森林は崩壊寸前だ。疲弊した林業を復活させ、森の恵みを取り戻すための処方箋を提示する。 わが国は国土の三分の二(二千五百万ヘクタール)を森林が占めるほど森林資源に恵まれた国であり、先進国の中で森林率がこれほど高い国は、北欧以外には存在しない。ところが、その四割を占め、われわれにも身近な人工林が、いまや崩壊の危機に瀕している。林業の疲弊からいまでは間伐もほとんどなされず、真っ暗で下草も生えない、もやしのような森林ばかりになっている。このままでは、戦後、荒廃した山地に植林し、一千万ヘクタールにおよぶ人工林資源を築いてきたせっかくの苦労が水泡に帰すばかりか、森林崩壊の危険性が増すなど、取り返しのつかない事態に陥りかねない。 日本の林業関係者はこれまで「林業が疲弊したのは安い外材が大量に輸入されたせいで、日本で産業としての林業が成立するのは困難」と頭から決めつけ、治水など森林の公益的機能を前面に出して人工林を整備しようとしてきた。ところが、そうなると整備のための資金はいくらあっても足りず、一千万ヘクタールもの人工林を維持管理していくことは到底不可能である。ビジネスとしての林業再生こそが森林が本来持つ機能を発揮させられる唯一の道であることを、肝に銘じるべきだ。

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