勢いを増す中国「反日原理派」の巧妙な手口

執筆者:伊藤正 2005年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

指導部が反日騒動のコントロールに手間取る傍ら、対日強硬派は一気に存在感を増した。次期党大会に向け日中問題は権力闘争の具に。[北京発]五月八日夜、モスクワの中国大使館。対独戦勝六十周年記念大会(九日)出席のため訪露した胡錦濤中国国家主席は、旧ソ連赤軍の退役兵士三十余人を招き会見した。ソ連の対日参戦で、中国東北部(旧満州)へ進攻した老兵たちだ。胡氏は演説で彼らの功績を称えた。「抗日戦争の決定的時期に、ソ連赤軍は中国軍民と手を携え最終的勝利のために重要な支援をしてくれた。みなさんは東北の激戦に参加し、日本の侵略者を撃破するのに貢献した。将兵に多くの犠牲を出したソ連赤軍の英雄的な戦いは、中国人民の心に永久に銘記されよう」 ソ連参戦四日後の一九四五年八月十三日、毛沢東は「日本投降の決定的要素はソ連の参戦だ。(日本軍は)百万の大軍に抵抗すべくもない」と述べた。実際、関東軍はほとんど無抵抗のまま投降、日本の軍民は蹂躙された。胡錦濤氏はこれを「激戦」と呼び、赤軍の「英雄的戦い」を賛美したのだった。 中国では、五〇年代後半以降の中ソ対立期に、ソ連参戦への評価が変化、赤軍兵らの乱暴狼藉の被害が、中国人にも及んだことも暴露された。参戦の果実としてソ連が手に入れた北方四島についても、中国は日本支持に転じたが、近年の中露関係の改善に伴い、北方領土問題への態度もあいまいになった。

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