スピードとパワーの源泉「情報共有」という組織原理

執筆者:梅田望夫 2005年7月号
カテゴリ: IT・メディア

 情報を共有することによって生まれるスピードとパワーについて、私たちはもっと真剣に考える必要がある。そう強く思うようになったのは、私が(株)はてなに参画し、インターネットを駆使する若い世代の全く新しい仕事の仕方を経験してからだ。むろん従来型大組織だってインターネットを活用している。莫大なコストをかけたグループウェアが社内システムとして動き、誰もが電子メールを利用する。では最大の違いは何か。 私が、はてなで仕事を始めてまず不思議に思ったのは、彼等が社内で電子メールをあまり使わないことだった。その代わり社員全員が、ビジョンや戦略の議論、新サービスのアイデアから、日常の相談事や業務報告に至るまで、ほぼすべての情報を、社内の誰もが読めるブログに書き込む形で公開し、瞬時に社員全員で共有するのである。特定の誰かに指示を仰ぐための質問、それに対する回答、普通なら直属の上司にまず報告すべき内容、すべていきなり全員に向けて公開するのである。 取締役に就任すると同時に、シリコンバレーに住む私にもその社内アカウントが与えられた。過去に遡って全員のブログを読み進めていくうちに、本当に何から何まで情報が共有されていることに驚いた。以来「同社の社内システムに入り、寝ている間に起こったすべてを把握し、必要に応じて自分の意見を書き込む」ことが、私の毎朝の習慣となった。そしてしばらくして、これは「組織と情報」に関するコペルニクス的転回なのだと気づいた。

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執筆者プロフィール
梅田望夫 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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