健康食品「野放し大国」日本の実情

執筆者:沢木実緒 2005年7月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

いまや二兆円ともいわれる健康食品の市場規模。商品はまさに玉石混交だが、行政にはその“石”を取り締まる権限も人手もない。「入院患者さんの八割はアガリクスを引き出しに隠してますよ」 ある肺癌専門医は苦笑交じりに話した。キノコの一種アガリクスは医薬品ではなく、健康食品に分類される。そして多くの難病患者が高い金を払い健康食品にすがる背景には「○○で癌が治った!」と喧伝するいわゆる「バイブル本」の存在がある。 四月、長年放置されてきたバイブル本とのタイアップビジネスという灰色領域にメスが入れられた。警視庁が薬事法違反の疑いでバイブル本出版の大手「史輝出版」(東京都港区)と関連会社を家宅捜索したのだ。 史輝出版は、アガリクスなど健康食品の販売会社とタイアップし、「末期癌に効く」「癌抑止率百パーセント」などと紹介する本を出版している。医薬品でないものについて直接的に治療効果を謳えば薬事法違反だが、同社は「書籍の広告」という形で法をすり抜けてきた。書籍の広告を新聞や雑誌に載せれば商品そのものの宣伝効果がある。瀬川博美社長はこうした「タイアップ出版」というビジネス手法の創始者を自任していた。 実は、今回の捜査は一年前に厚生労働省が行なった行政指導に端を発していた。

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