アベノミクスが本腰を入れる「雇用制度改革」の成否

執筆者:磯山友幸 2013年8月29日
タグ: 安倍晋三 日本
エリア: アジア
 産業競争力会議の議論に批判が集中した (C)時事
産業競争力会議の議論に批判が集中した (C)時事

 2014年度の予算編成に向けた各省庁の概算要求が始まった。安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」の3本目の矢である「成長戦略」に盛り込まれた政策がどう具体化されていくのか。各省の概算要求をみているとおぼろげながら見えてくる。そんな中で、成長戦略が求めた「政策転換」が鮮明に表れたものの1つが雇用対策予算だ。

 厚生労働省は概算要求で、解雇を防ぐための「雇用調整助成金」を半減させる一方、転職支援のための助成金を大幅に増額した。雇用調整助成金は、経営難に陥った企業が従業員を解雇せずに休業などの形で雇い続けた場合に支給するもので、12 年度は1134億円が支給されたが、これを概算要求では545億円と半減させた。一方で、転職する場合の費用などを助成する「労働移動支援助成金」は、12年度は2億4000万円に過ぎなかったが、これを大幅に増額して301億円を要求に盛り込んだ。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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