緊急レポート ロンドン同時爆破テロ イギリス社会がテロを冷静に受け止めた理由

執筆者:マイケル・ビンヨン 2005年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

[ロンドン発]イギリスへのテロ攻撃は「避けられない」――過去に幾度も繰り返された警告だ。それでもやはり、実際にテロが起きると大きな衝撃だった。しかも、前夜には二〇一二年オリンピックのロンドン開催が決定し、人々は歓喜に溢れていた。その余韻もさめやらぬ朝の事件に、ロンドンは一転して恐怖と怒りと嘆きの街と化した。 考えてみれば、スコットランドで開催中のG8サミット(主要八カ国首脳会議)に合わせてテロが仕掛けられることは十分にあり得ることだった。しかし、事前にそれに思いを致した者はほとんどいなかった。 二〇〇一年九月十一日にアメリカで同時多発テロが起きて以来、アメリカと最も緊密な同盟国であるイギリスは常に次の標的だと言われてきた。しかし、何も起きなかった。次第に人々の緊張は緩んでいった。 二〇〇四年三月、スペインのマドリードで列車爆破テロが起きると、再びイギリスにも緊張が走った。イラクにおけるイギリス軍の深い関与を考えると、狙われる度合いは高いと誰もが思った。しかも、当時すでに情報・治安当局はヒースロー空港を含む重要施設を標的としたテロ計画を四件か五件、未然に防いだといわれていた。だが、何も起きなかった。人々は、警察や治安組織を狼少年呼ばわりするようになった。次第に、入国管理窓口や公共交通機関での手荷物検査などが厳しくなくなった。

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