華人カジノ一族たちの武器は「北京コネクション」

執筆者:樋泉克夫 2005年8月号
エリア: アジア

東南アジアから北朝鮮、シベリアにまで中国系カジノはつながっている。“大中華賭博圏”を通じて、北京の政治的影響力は広がる。 ブラジルで発行されている華字紙「南美僑報」(二〇〇五年一月十五日付)が、中国人の強い射幸心を嘆いていて興味深い。曰く、「いまや世界中のカジノで中国人を見かけないことはない。このままでは国際社会の主流に入ることは難しい」。 気がつけば、いつの間にか中国は“賭場回廊”に囲まれている。中国雲南省と国境を接するミャンマー東北部の果干から、タイ、ミャンマー、ラオスにまたがる「ゴールデン・トライアングル」、マレーシアのゲンティン高原、マレーシアとシンガポールの間のジョホール海峡洋上、マカオ、北朝鮮、さらにシベリア東部まで続く地域。ここでは、いまや八十カ所を超えるカジノを数えることができるが、非合法も含めると二百余カ所で数千軒との説すらある。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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