ラブロフ提案は米ロによる「シリア内戦国際管理」につながるか──シリア問題への熟考(3)

 シリアをめぐる水面下の米ロ外交が表面化している。9月9日、ロシアのラブロフ外相は突如記者会見し、シリアに化学兵器を国際管理下に置くように求める提案発表した。

 訪ロしていたシリアのムアッレム外相は、この提案を歓迎する、と記者に答えている。「歓迎」がアサド政権としてのものなのか、そもそもラブロフ提案の策定にアサド政権がどこまで関与していたかも定かではない。

 そしてオバマ大統領は9日のテレビ各局へのインタビューでこの動きを評価し、もし化学兵器を差し出せば攻撃を控えると言明している。オバマ大統領が10日の米国民向け演説で、攻撃への決意と、外交解決の可能性との関係をどのように表現するかが注目される。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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