メディア王マードックが深入りしてしまった「ベルルスコーニの聖域」とは

2005年8月号
エリア: ヨーロッパ

 世界のメディア王ルパート・マードック氏がイタリア国内の主要メディアを牛耳るベルルスコーニ伊首相に全面戦争を仕掛けている。舞台はプロサッカーリーグ「セリエA」などメディアにとって有力なコンテンツが豊富なイタリア。視聴者獲得を巡る「仁義なき戦い」が始まった。「官民一体の妨害工作だ」。マードック氏は欧州連合(EU)に異議を申し立てた。やり玉に挙がったのが伊政府の財政支出。一億二千万ユーロを投じ、地上波デジタル放送の視聴装置「セット・トップ・ボックス」を国内に百万台普及させる計画だ。 イタリアは二〇〇七年の地上波デジタル放送化に向け、ベルルスコーニ首相が事実上所有する伊民放最大手メディアセットをはじめ、テレコムイタリア、国営放送RAIなどが導入準備を急いでいる。「伊政府の財政支出は首相が率いるメディアセットへの露骨な援助であり、当社の利益を著しく損なう」。マードック氏は警戒心を募らす。 実はマードック氏は伊有料テレビ市場で独占体制を構築しつつあった。〇三年四月末、仏メディア企業ビベンディから伊有料衛星テレビ「テレピュ」を約九億ユーロで買収し、自ら経営する伊有料衛星テレビ「ストリーム」と統合して伊で唯一最大の有料衛星テレビ「スカイ・イタリア」を設立。昨年三月にはセリエA全チームの衛星放送の放映権も取得した。

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