行き先のない旅
行き先のない旅(95)

ヨーロッパ「かかりつけ医」の効用

大野ゆり子
執筆者:大野ゆり子 2013年9月24日
カテゴリ: 国際 文化・歴史 社会
エリア: ヨーロッパ 北米

 先日、日本に一時帰国しているときに、旅先の九州で急に入院することになった。風邪のような症状だったが、福岡市内の開業医のドクターの機転で、念のために行なった採血で異常がみつかり、即刻、近くの病院で入院の手続きを取っていただいた。

 

病院は通過地点

 あまり自慢できることではないが、これまで20年住んできたドイツ、ベルギー、フランスなどヨーロッパのどの国でも、私は病院のお世話になっている。その経験と比べても、日本の医療サービスが世界トップの水準を誇っていることを、今回実感した。

 しかし、そのサービスの質の高さは、国の制度としてではなく、過重労働の中でも職業倫理を貫いて働こうとしている、日本の医療従事者の勤勉さ、善意、きめの細かさだけに依るところが大きいのではないかと思う。ある医療雑誌を読んでいたら、日本の病院勤務医で、1カ月の休日日数が1-4日と答えた人が4割。9%近い人が全然休めず、少なくとも週1回は休みを取りたいと回答しているそうだ。

 日本では若く、点滴や注射の仕方もうまい看護師が、早朝、深夜と、過酷な勤務を笑顔でこなして、きびきびと働いている。白衣姿の優しい看護婦さんを表す「白衣の天使」という言葉が昔あったが、今回も日本の病棟では、男女を問わず、たくさんの天使たちに会った。これが当たり前と思っている日本人がヨーロッパで入院したら、「白衣の天使遭遇率」はかなり低いだろう。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子
大野ゆり子 エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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