結婚とは「所得連動型の債券」という金融商品である

執筆者:藤沢数希 2013年9月21日
タグ: 中国 日本
エリア: アジア
 裁判が長引くほど「コンピ」はかさむ  by Saya10
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 さて、これまでに離婚によりどれだけの金が動くのかは、慰謝料、財産分与、婚姻費用のみっつの要素から計算できることが理解できただろう。こうした結婚の金銭の授受の権利義務関係を見ると、結婚というのは、同じく将来の金銭の授受の権利義務関係を契約する、ある種の金融商品の取引であると考えられる。そして、この金融商品は、毎月分配型の特殊な債券なのである。結婚というのは、潜在的には、こうした金融商品の売買契約なのだ。

 

 最初の中国人の青年の話に戻ろう。彼の奥さんにしてみれば、形式的にでも結婚している限り、毎月37万円の婚姻費用を受け取ることができる。そして、離婚成立時に、慰謝料と財産分与が受け取れる。

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執筆者プロフィール
藤沢数希(ふじさわかずき) 理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で研究職に就いた後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスク・マネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。著書に『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』(ダイヤモンド社)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』(同)『「反原発」の不都合な真実』(新潮社)『外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』(ダイヤモンド社)など。
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