「2期目の業績なし」でオバマ政権「レイムダック化」の危機

足立正彦
執筆者:足立正彦 2013年9月29日
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 北米

   夏季休会も明けて米議会の審議が再開され、現在、会計年度末を目前にして、新会計年度である2014会計年度予算案(2013年10月1月から2014年9月30日)を巡る与野党対立が先鋭化しつつある。9月も残すところわずかとなったが、バラク・オバマ大統領にとって、8月末から今月にかけては厳しかった政治環境がさらに厳しさを増していることを一層実感する約1カ月でもあった。

 外交面では、8月21日にシリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器が使用され、多数の民間人犠牲者が出た。アサド政権により化学兵器が使用されたと主張するオバマ大統領は対シリア武力行動の必要性を訴え、米議会に対しても対シリア軍事行動を承認するよう要請し、上院外交委員会は対シリア武力行使決議案を承認した。だが、米世論も米議会もオバマ大統領の対シリア武力行動の要請には一貫して消極的姿勢を示す中、ロシアのプーチン大統領が提案したシリアの化学兵器を国際管理下に置く提案について米露両国は基本合意し、米国による対シリア武力行使は一時的に回避された。しかし、化学兵器使用を踏み越えてはならない一線である「レッド・ライン(“red line”)」であると定義し、対シリア武力行使を示唆してきたオバマ大統領は、結果として迷走を繰り返し、中東地域における米国の影響力の低下とオバマ大統領の指導力への疑念を国際社会に印象付ける結果となってしまった。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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