饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(92)

サミット開幕を彩ったテロ前夜の晩餐会

西川恵
執筆者:西川恵 2005年9月号
カテゴリ: 国際

 イギリス北部スコットランドの保養地グレンイーグルズのホテルレストランに、バッキンガム宮殿から電話があったのは昨年十一月のことだった。「来年七月の主要国首脳会議(G8サミット)の幕開けにエリザベス女王が歓迎晩餐会を開く。ついてはその料理をお願いしたい」と電話の主は言った。 レストランのオーナーのアンドリュー・フェアリー料理長(四一)はフランスで料理を学び、四年前にレストランをオープンしたばかり。求めに応じて料理長は四種類のメニューを提案し、この中から決まったのが次のメニューである。 スモークサーモンにローストしたラングスティーヌ(手長海老)、サラダ添え グレンイーグルズの子羊のロースト、ソラ豆とエンドウ豆添え、マッシュしたナス、ポレンタ(トウモロコシ粉の粥)とともに チョコレートのデザート五種 材料はすべて地元産。デザートはチョコレートムース、アイスクリームに熱々のチョコレートソースをかけたものなど、チョコレートづくしの五種類。女王がチョコレート好きなことはよく知られていた。 飲み物はバッキンガム宮殿のソムリエが選んだが、G8各国のアルコールをすべて出す粋な計らいがなされた。女王とG8首脳の歓談では、食前酒として米カリフォルニアのスパークリングワインとフランスのシャンパン、ルイ・ロデレール。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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