中国の記者が試験を受ける「マルクス主義報道観」

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2013年10月18日
エリア: 中国・台湾

 中国の記者が来年から「マルクス主義報道観」をしっかり身につけているかどうか見極めるための試験を受けなければならない、というニュースが流れた。年に1度の試験に落ちたら記者は続けられなくなるという。この「マルクス主義報道観」については、共産党指導部が今年に入ってから新聞、テレビなどのメディア引き締めのためにキャンペーンとして盛んに宣伝してきたものだが、とうとう記者個人にも「圧力」が到達した形だ。

 そもそも中国の記者はゆるやかな資格制を採っている。メディアに属していれば記者証がもらえ、辞めると取り上げられる。メディアが基本的に公的機関なので、その組織が記者の身分を担保するようなものだった。中国の記者はいったん就職したら一生そのメディアで働くことが普通だったので、その制度で間に合っていた。

 ところが最近はメディアの数が増え、商業主義の色彩の強い夕刊紙や週刊誌も多くなり、メディア間の人の移動も活発化した。その結果、従来の組織主導型の記者管理ができないことに当局は頭を悩ましていた。

 そんな記者たちの引き締めに登場したのがこの試験というわけだが、そもそも「マルクス主義報道観」とは何だろうかと調べてみると、要するに「階級主義的にメディアを位置づける」ための考え方ということらしい。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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