浮彫りになった「とめどなき石油需要」の脅威

執筆者:五十嵐卓 2005年10月号
カテゴリ: 環境・エネルギー

インドや中国で自動車が大量に売れ始めた。もはや供給拡大だけでは油価高騰は抑え切れない。グローバルな省エネ政策が不可欠だ。五十嵐卓ジャーナリスト ニューオーリンズを水没させ、米南部に未曾有の大被害を与えた大型ハリケーン「カトリーナ」は、石油の世界にも大きな変動を引き起こした。一バレル七十ドルを大きく超えた原油相場のことではない。国際エネルギー機関(IEA)と米国の戦略石油備蓄(SPR)の変質である。 九月二日、IEAは加盟二十六カ国が協調して石油備蓄を合計日量二百万バレル相当(期間は三十日)、取り崩すことを決めた。米ブッシュ政権はこれに先だってSPRを民間石油会社に貸し付ける形で放出することを発表している。原油が史上最高値を更新し、米国内ではガソリン不足も顕在化する中では当たり前の対策のようにみえるかもしれない。だが、IEAとSPRの成り立ちをみれば、これがきわめて異常な出来事であることは明らかだ。 IEAは一九七四年十一月、石油輸出国機構(OPEC)と対峙し、資本主義国家のエネルギー安全保障と世界経済の秩序を守る目的で結成された。言うまでもなく、前年十月のサウジアラビアなどアラブ産油国による米・オランダへの石油禁輸とそれをきっかけにした第一次石油危機がIEA結成の動機となった。

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