饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(93)

新しいトルコを体現するウナイドゥン駐日大使

西川恵
執筆者:西川恵 2005年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

 在京の外国大使は百三十四人いるが、その中でもエネルギッシュに活動している一人は女性の駐日トルコ大使、ソルマズ・ウナイドゥンさんという点で外務省内の見方は一致する。 二〇〇三年一月に来日してすぐ始まった「日本におけるトルコ年」(〇三―〇四年)では、トルコの若手デザイナーを日本に招いたファッションショーなど相次いで大型企画を実現させた。この二年八カ月に日本に築いた人脈は幅広く、ある外務省OBは「講演をお願いしても、積極的にきてくれます。大使には両国関係をもっとレベルアップしなければという思いが強くあります」と語る。 現在、駐日大使が女性なのはトルコ、マリ、それにルクセンブルク。ルクセンブルクは欧州の国だけに女性の登用は珍しくないが、国民の九九%がイスラム教のトルコで女性大使となるとおやっと思ってしまう。 今年、大使にインタビューした折にそう言うと、笑われた。「トルコ外務省職員千人のうち三百人が女性です。女性大使は十六人います。欧米でもこれだけ女性を大使に起用している国はないと思います」。ちなみに日本は駐イタリア大使と駐ノルウェー大使の二人だけだ。 ただトルコも前からそうだった訳ではない。一九二三年にケマル将軍(ケマル・アタチュルク)が宗教と政治を分離して共和制を採用し、世俗国家となって以降、さまざまな分野に女性が進出した。しかし一番遅れたのが外交分野だったという。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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