国際会計基準義務づけでいっそう盛んになる「抜け道」の模索

2005年10月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: ヨーロッパ

 スイス再保険がこのほど、二〇〇六年の年間決算から従来のスイス基準に代わって米国会計基準を使うことを決めた。欧州連合(EU)は域内の上場企業に国際会計基準の採用を義務づけている。スイスはEU非加盟のため、国際会計基準が直接義務づけられるわけではないが、信用を維持するために国際的に通用する会計基準の採用が不可欠になっている。そこであえて米国基準に変更するところに、スイス企業ならではのしたたかな計算が隠されている。 実は国際会計基準の保険会計はまだ詳細が決まっていない。しかも負債、つまり保険契約による将来の支払い義務額を時価評価するかどうかが大きな焦点になっている。国際会計基準では銀行会計にも「負債の時価評価」が懸案としてくすぶっており、スイスの大手銀行クレディ・スイスも昨年から米国会計基準に変更している。時価評価すれば多額の損失処理を迫られるとみられるだけに、グローバル競争の中で、国際会計基準を採用する会社だけが不利になる可能性が残されている。 もっとも、EU域内の保険会社や銀行が、遅れをとることに甘んじているわけではない。 すべての企業がすんなり国際会計基準に移行するかどうかは分からないのだ。ドイツのように米国基準での決算公表を認めている国もある。また、EUも米国基準をほぼ同等と判断しており、追加情報の開示だけで済ませる抜け道が残っている。

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