ハリケーン被害はブッシュ政権と国家の最大の試練

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2005年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

さかんに警鐘が鳴らされた、起こるべくして起きた被害だった。豊かな国アメリカの、あまりにも脆弱な姿――。[ワシントン発]ハリケーン「カトリーナ」がニューオーリンズをはじめとするメキシコ湾岸地帯に空前の被害をもたらしてから一週間後、無精髭をはやし、目に怒りをたぎらせたアーロン・ブルサードは、テレビカメラに向かって国や州政府の対応の遅れを激しく非難した。これは「殺人行為」だと。ブルサードが郡長を務めるルイジアナ州ジェファーソン郡も壊滅的な被害を受けている。「いま私がいる建物を管理している男性のお母さんは、水位が上がるなか、老人ホームで身動きが取れなくなっていました」。こう語る彼の目にはみるみる涙が溢れた。「ハリケーン二日目の火曜日、お母さんは息子に電話しました。ママ、必ず助けに行くよ。息子は言いました。水曜日にも木曜日にも同じ会話が繰り返されました。そして金曜日……」。ブルサードは一瞬の沈黙の後、言った。「夕方、お母さんは溺れて亡くなりました」。 彼の政府批判はなおも続く。たとえば、小売り大手のウォルマートが被災者のために水を運んできたのに、連邦政府職員が「水はいらない」とトラックを追い返してしまったこと。「アメリカ政府がウォルマートのように対応していたら、これほどの惨状にはならなかったでしょう」。

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執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
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