北方領土を戻さないプーチンの来日

[モスクワ発]ロシアのプーチン大統領は九月二十七日、テレビ会見に出演し、六十以上の質問に三時間にわたって答えたが、最初に飛び出したのが北方領土問題だった。質問の大半は内政で、外交は日露関係とバルト三国在住ロシア人の人権問題だけ。十一月二十日からの訪日を控え、重要メッセージを先に発信する意図的演出だった。「北方四島はロシアの主権下にある。それは国際法によって確定され、第二次世界大戦の結果だ。これについて議論するつもりは一切ない。この立場から交渉を行なう。……領土問題は両国にとって繊細な問題だが、善意があれば、双方を満足させる選択肢を見出すことは可能だ。互いに歩み寄れば、解決策は発見できる」

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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