「モンゴル頼み」で拉致問題は進展するのか

執筆者:平井久志 2013年11月18日
エリア: アジア

 北朝鮮とモンゴルの関係を考える時、思い浮かぶシーンがある。1986年11月17日、韓国国防省スポークスマンが、休戦ラインにある北朝鮮側の韓国向け宣伝スピーカーが「金日成(キム・イルソン)主席が銃撃によって死亡した」と伝えていると発表し「金日成主席死亡説」が世界を走った。

 この死亡説は、数日前から東京やソウルで流れていたが、韓国国防省の発表で一気に信憑性を帯びた。11月17日夜は諸説が入り乱れた。筆者は当時、東京の外信部勤務だった。死亡なのかどうか各メディアとも朝刊の紙面作りに頭を悩ました。筆者が勤めていた通信社は、結局、両論併記だったと記憶している。朝刊の作業を終えると、会社から翌日すぐ韓国大使館へ向かってビザを取り、ソウルへ向かうよう言われた。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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