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アラファトをポロニウム210で殺したのは誰だ――スイス調査で深まる疑惑

春名幹男
執筆者:春名幹男 2013年11月20日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
 突然の体調悪化に見舞われたアラファト・パレスチナ自治政府議長(右端)とスーハ夫人=2004年10月、パレスチナ自治区ラマラ (C)AFP=時事
突然の体調悪化に見舞われたアラファト・パレスチナ自治政府議長(右端)とスーハ夫人=2004年10月、パレスチナ自治区ラマラ (C)AFP=時事

 パレスチナ解放のカリスマ的指導者だったパレスチナ自治政府のヤセル・アラファト議長が2004年11月11日に不審の死を遂げてから9年がたった。

 スイス・ローザンヌ大学法医学センターは、カタールの国際テレビ局アルジャジーラの依頼を受けて、昨年墓場から掘り返された議長の遺体から組織20検体を採取して調査(記事末尾の写真参照)。その結果、故アラファト議長の死因は放射性物質ポロニウム210の投与が原因であることが「中程度の」信頼度で証明された、とアルジャジーラが報じた。

 肋骨や骨盤から「通常の18倍のポロニウムが検出され」、ポロニウム中毒を起こした確率は83%だったというのだ。

 ポロニウム210と言えば2006年、英国に政治亡命した元ロシア情報機関、連邦保安局(FSB)の元中佐アレクサンドル・リトビネンコ氏がロンドンでロシアの刺客に投与されたのと同じ猛毒物質である。

 議長のスーハ未亡人は「政治的暗殺」と断定する。しかし、そもそも誰がどんな目的でアラファト氏をあえて希少な物質ポロニウムで殺害したのか、断定できる証拠は全くない。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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