バリ島自爆テロ犯は「第三世代テロリスト」か

執筆者:竹田いさみ 2005年11月号
エリア: アジア

 バリ島の爆弾テロ事件は、イスラム過激派「ジェマ・イスラミア(JI)」の関与が濃厚だ。インドネシア政府はJI犯行説を主張している。JIは東南アジアにおけるアル・カエダ系の広域テロ組織。計画性、組織性、同時多発性は、アル・カエダ系テロ組織に共通の特色だ。 なぜバリ島を狙ったのか。インドネシアを代表するリゾート地も、イスラム過激派から見れば欧米の退廃した文化の象徴に過ぎない。インドネシアでイスラム国家を実現するために、JIは昨年就任したユドヨノ大統領を揺さぶる。ユドヨノは米国留学経験もあり米国とのパイプが太いことで有名だ。インドネシアの安定と繁栄のシンボルであるからこそ、バリ島をJIは再び標的にしたと考えてよい。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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