わずか一年、マーサ・スチュワートの大復活

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2005年11月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

莫大なお金を吸い寄せるあの「カリスマ主婦」が戻ってきた。服役さえも“傷”にならないアメリカ社会の一断面。[ワシントン発]「カリスマ主婦」マーサ・スチュワート(六四)は、究極のカムバック劇を演じてみせるのか――この秋、社会復帰したマーサの動向が全米の注目を集めている。 マーサ・スチュワートといえば「家事の女神」として崇められ、その名を冠したテレビ番組や雑誌、家庭用品の総売上は十億ドルにものぼる、まさにカリスマ的存在だった。だがそれはすべて、服役前のこと。 昨年三月、ニューヨーク州連邦地裁はマーサに対し、友人が所有するバイオ企業イムクローン・システムズの株価下落につながる未公開情報を得て事前に売却したとの疑惑に関し、偽証の罪で懲役五カ月の有罪判決を下した。時価総額十億ドルを誇ったマーサ・スチュワート・リビング・オムニメディア社の株価は暴落し、マーサは会長を退いた。雑誌からもマーサの写真は消え去った。 もはや彼女は堕ちた偶像か……というと、そうでもないのがアメリカの不思議なところだ。 スキャンダルを好むのはいずこも同じ。だが、アメリカほどそれが顕著なところもない。とりわけ、巨像が大きく転ぶのを好む。マーサのインサイダー取引疑惑も当初は蔑まれた。大金持ちになって傲慢になると、世間とは感覚がずれ、法の目をかいくぐれると勘違いしてあんなことになってしまうのだと。彼女が収監されると、深夜のコメディ番組は、マーサは牢獄をどう飾りつけるだろうかと笑いのタネにした。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順