【ブックハンティング】淳君のお父さんは何と闘ってきたのか

執筆者:本村洋 2005年11月号
カテゴリ: 書評 社会
エリア: 日本

 三百六十四万六千件。二〇〇三年の刑法犯認知件数である。実に一日に一万件の犯罪が発生したことになる。二十年足らずで約百五十二万件増加し、日本の治安悪化は明白である。一方、ここ数年被害者への社会的関心が高まり、犯罪被害者等基本法(〇四年)など関連法が次々に制定された。支援で欧米に二十年以上遅れていた日本が急ぎ足でその溝を埋めつつある。 法案成立には、自らが体験した理不尽極まる状況を訴えてきた被害者の声と、いまや誰もが被害者になりうるという世論が背景にある。そして、世論が治安悪化を感じるのは、それを象徴する事件が発生した時だ。 近年の日本を象徴する事件は、「オウム真理教に関わる一連の事件(松本サリン事件や地下鉄サリン事件)」や「神戸連続児童殺傷事件」、「池田小学校児童殺傷事件」などであろう。いずれも社会病理を内包した事件である。そして、複数の人の命が奪われ一生涯重い十字架を背負わされた被害者、遺族がいる。 この三大事件の加害者の処遇について、少し触れる。「オウム真理教に関わる事件」の首謀者松本被告は現在控訴中だが、まず死刑は免れないであろう。「池田小学校児童殺傷事件」の宅間死刑囚は既に死刑執行されている。だが、「神戸連続児童殺傷事件」の加害者Aは、いま、社会人(現在二十三歳)として、私達と同じ空間で生活をしている。

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