「80年遅れ」の銀行規制を放置する金融庁の「怠慢行政」

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2013年11月27日
エリア: ヨーロッパ 日本
 安倍首相も麻生金融担当相もまったく動く気配がない (C)時事
安倍首相も麻生金融担当相もまったく動く気配がない (C)時事

 ギリシャなどの債務危機に直面した欧州では今、銀行の国債保有を制限すべきだ、という議論が急速に盛り上がっている。国債をリスクゼロとしている現在の資本規制が、銀行に過度な国債保有を許し、金融危機をもたらしかねないというのだ。国債が社債などと同様にリスクに見合った資本確保を求められれば、銀行が国債保有を見直さざるを得なくなる。資本規制ルールの見直しは、大量に国債を抱える日本の銀行にとっても無関係の話ではない。銀行が保有する資産のリスクを真剣に考える時なのだが、株式保有の制限すら真面目に議論できていない。世界大恐慌の教訓にも学ばない80年遅れの銀行規制が、日本の金融システムを脆弱にしている。

 

ドイツ連銀総裁の指摘

「国債は、中長期的にはその他の社債や企業貸付と同様に扱われるべきだ」

 10月30日、ドイツ連邦銀行総裁のイェンス・ヴァイトマン氏はドイツのダルムシュタットで講演し、銀行が保有する国債の評価について、こう語った。ヴァイトマン総裁は、共通通貨ユーロを発行する欧州中央銀行(ECB)の理事会メンバーでもある。ECBは2014年末からユーロ圏の銀行を一元的に監督し、「ユーロ圏の中央銀行」としての権限を強めることになる。その監督方針を決める理事の発言だけに注目された。ECBは現在、監督対象になるユーロ圏の銀行に対して健全性の審査、いわゆる「ストレステスト」を実施する予定で、その審査でも銀行が保有する国債を対象にする必要があると、ヴァイトマン氏は述べたのだ。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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