ドイツ政府系金融機関「KfW」はなぜ強い

執筆者:石山新平 2005年12月号
エリア: ヨーロッパ

ドイツ復興金融公庫(KfW)は「民間銀行の水先案内」役として進化を続けている。日本と違うそのあり方に「改革のヒント」が潜む。[フランクフルト発]地球温暖化防止に向けた京都議定書。欧州連合(EU)は二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出量を一九九〇年比八%削減することを義務付けられているが、中でもドイツには二一%減が求められている。風力発電への切り替えなど努力は実りつつあるものの、企業の自助努力だけでは追いつかない。国外から余った二酸化炭素排出権を買ってくる必要に迫られているが、その大役を担ったのが政府系金融機関であるドイツ復興金融公庫(KfW)だった。 KfWは二〇〇四年に排出権を買い取る「カーボン(炭素)ファンド」を設立。アジアや南米などで排出量を減らすプロジェクトに協力して、余剰枠を買っている。長年培ったプロジェクト・ファイナンス(事業収益を担保とする融資)の経験を土台にして、すでに基金七千万ユーロ(約百億円)に見合うプロジェクトの立ち上げにメドを付けた模様だ。 ドイツでは、政府保証を背景にして低利の長期資金を供給する役割を担ってきた政府系金融の姿が大きく変わりつつある。最大のきっかけは、EUの統合。一九九九年から二〇〇二年まで続いたEUとドイツ政府の交渉の結果、民間企業を圧迫する政府系金融機関の全面的な機能見直しで合意した。民間企業向け融資など“民間でもできる事業”については、民間企業と競争条件を均一にすることになり、今年七月からは州立銀行に対する政府の保証の段階的撤廃が始まった。またKfWについても、民間銀行と競合関係にある輸出金融とプロジェクト・ファイナンスの事業を二〇〇七年末に分社化することが決まっている。

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