「張成沢」失脚情報を追う(下)「待望論」で「横枝」は切られたのか?

平井久志
執筆者:平井久志 2013年12月6日
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 韓国の中央日報社の「中央SUNDAY」は、11月17日付で興味深い記事を掲載した。同紙は「北朝鮮でこのところ予想外の政権交代説が出回っている。張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長が金正恩(キム・ジョンウン)を押し出すということだ」と報じた。

 同紙は「平壌に住む貿易労働者の金氏との電話で『張成沢の権力は大きくなるか』と尋ねると、金氏は『いまは金正恩より張成沢が政権を取ればはるかに生活が良くなるだろうという噂が広まっている』と話した。張成沢は頭が良く、『領導力』が優れており、彼を嫌いだという幹部はいないほど周辺管理を徹底し、下の人たちからも大きな尊敬を受けているという。彼はまた、『金正日(キム・ジョンイル)時代は話すことはできなかったが、〈若い奴がとても幼稚に遊ぶのでこうしたことでは国をつぶしかねない〉とこそこそと言っている。さらに〈李朝500年〉(世襲政権を皮肉る言葉)と公然と話す人もいる』と話した」と報じた。

 

潜在的ライバル

 北朝鮮の住民の間でこうした張成沢待望論が広まっていることが事実とすれば、金正恩第1書記の心境はどうだろうか。金正恩第1書記にとって張成沢氏は自分への権力継承をサポートしてくれた功臣であると同時に、自分に挑戦してくるかもしれないライバルでもある。自分より期待が集まる張成沢氏の存在をうとましく考える可能性はある。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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