経済の頭で考えたこと (63)

「イランをめぐる新情勢」の中で「日本」は何ができるのか

 ジュネーブでの核協議は、イランの高濃縮ウラン製造停止などの見返りに、米欧が経済制裁の一部を緩和することで合意した。今後6カ月間、双方が合意の履行状況を見極める「第1段階の措置」の間に、包括的解決策を交渉するという11月24日の発表は、間違いなく歴史的な出来事だ。しかし安定した均衡解が中東に用意されたかと問われれば「否」である。イラン以外の中東の当事者たちはこれまでのポジションからの変更に踏み出そうとしており、新たなる不安定化要因が積み重なるからだ。これを展望するためには、まずなぜイランに対する経済制裁の強化が相当の期間持続したのかの分析から入らねばならない。

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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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