「一兆円は下らない」米軍移転の日本側負担

2005年12月号
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: 日本

 米軍普天間基地の移設問題で揉めた米軍再編の中間報告がまとまったが、誰も触れようとしないのが、日本政府が負担することになる移転のコスト。米軍施設の建設にかかわってきた防衛施設庁関係者は「総額で一兆円は下らない」と見通している。 中間報告には、沖縄の海兵隊司令部のグアム移設に伴う費用は日本側が負担する旨、明記されている。関係者は「協議の中で米側から米兵四千人の移転に四十億ドルかかるとの試算が示された。移転人数は七千人に増えたから単純計算すれば七十億ドルになる」。これだけで八千億円以上だ。 さらに厚木基地の空母艦載機部隊の約二千五百人が岩国基地に移転する費用も加わる。厚木の米軍施設は約三百五十棟。一棟の建設費は約五億円だから、岩国に同様の施設を建設すると千五百億円はかかる計算。沖縄のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設される普天間基地の代替施設は二千億―二千五百億円と見積もられており、確かに総額で一兆円は下らないだろう。 これを年間五兆円の防衛費で賄うのは「当然無理。特別の予算を組まない限り、米軍移転は実現しない」(防衛庁幹部)。 そもそも、移転費用を日本側が持つことに問題はないのか。グアムは米国の準州なのだから、本来なら米軍の建物を造るのは米国予算となるはず。しかし、沖縄の負担軽減を理由に移転を日本側が強く望み、小泉純一郎首相が「費用はみてやれ」と指示。超法規的な日本負担が決定した。

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