内政混乱をよそに着実に進む「タイ王室外交」

樋泉克夫

 12月11日、タイの北部のチェンコンとラオス西南部のホワイサイとの間を結ぶ友好大橋が完成し、シリントーン王女が出席して開通式が行なわれた。タイとラオスの間を流れるメコン川に架かる4番目の友好大橋ということになる。

 じつは既に雲南省省都の昆明からバンコク(漢字で「曼谷」とも表記)の間は中国側が「昆曼国際大道」と呼ぶ国際公路で結ばれているが、唯一のネックはチェンコンとホワイサイとの間がメコン川で断ち切られていたことだった。

 15億7000万バーツに上った総工事費はタイと中国の両国で折半して出資し、ラオス側は中国が、タイ側はタイが建設に当たり、2010年6月に着工している。昆明・バンコク間は1750キロ、橋の長さは取り付け部分も含め11.6キロ。橋梁部分は幅15mほどで上下2車線。入管業務は両国連合方式が採用される。

 タイとラオスの両国は、ミャンマーのイラワジ川、タイのメナム川、タイとラオスの間のメコン川の3本の国際河川流域でのインフラ建設を進めており、この橋の完成をきっかけにして中国・ミャンマー・タイ・ラオス・カンボジア・ヴェトナムのメコン流域諸国のインフラ建設がさらに進捗する可能性は大である。そしてこの友好大橋の完成によって、ラオス経由で昆明はバンコクと公路で結ばれることになり、中国側からいうなら“熱帯への進軍”にさらに拍車が掛かることだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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