政府・与党は、世論の不安の声を押し切って特定秘密保護法を強行採決によって成立させた。内閣支持率は下落し、衆議院段階で最初に妥協して法案成立の流れを事実上決定付ける役割をはたした「みんなの党」は分裂した。
もともと、秘密保護法に対する野党とメディアの反応は鈍いものだった。その背景には、この種の「問題法案」を強行採決までして通すことはない、という「常識」があった。
メディアは、「一般の国民が飲み屋でたまたま秘密に関わる話をしたら逮捕される」といった漫画的な情景を描いてみせたが、問題の本質は、そうした日常生活の息抜きのレベルで論じられるものではない。その程度のことであれば、「国の安全が優先する」という政府・与党の論理には対抗できないだろう。
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